※本記事は2025年10月1日に米国で公開された Unleash Your Innovation with Agentforce Vibes: Vibe Coding for the Enterprise の抄訳です。本記事の正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語が優先されます。

バイブコーディングは、開発者の可能性を広げる新たなソフトウェア開発アプローチです。この手法なら、驚きの速さでアイデアを実用的なアプリケーションとして形にできます。創造性を発揮し、スピーディに、拡張性に優れた開発が可能になるのです。このたび、Salesforceはエンタープライズ向けのバイブコーディングツール、Agentforce Vibesを新たにリリースしました。

エンタープライズ向けのバイブコーディング

バイブコーディングでは、求める機能やアプリを自然言語で記述し、生成AIを使ってコードに変換します。スピーディなアイデア創出、プロトタイプの作成、使い捨て型プロジェクトといった特定のユースケースで、活用が急速に進んでいます。とはいえ、バイブコーディングで本番稼働に対応できるビジネスアプリを開発するのは容易ではありません。エンタープライズの要求を満たすセキュリティ、ガバナンス、信頼性の高いインフラストラクチャーを備え、提供開発者の生産性とビジネス価値を向上させるような開発体験を提供できていないのが実情です。 

Agentforce Vibesは、開発のあらゆる段階(発想と計画、構築、テスト、デプロイ、モニタリング)をスピードアップし、繰り返しの作業を自動化して、高品質で拡張性に優れたアプリケーションの作成を支援します。「従来型」のバイブコーディングツールとは異なり、Salesforce PlatformTrust Layerによるエンタープライズクラスのセキュリティとガバナンス機能が組み込まれているため、複雑な課題の解決と、よりスマートなアプリケーションや統合機能、AIエージェント機能の開発に集中できます。

Agentforce Vibesは、AIを活用したSalesforce向けの統合開発環境(IDE)であり、SalesforceのアプリとAIエージェントの開発、デバッグ、テスト、デプロイを実行できます。Salesforce Sandboxコードアナライザーv5(英語)、DevOps Center(英語)などのSalesforceのアプリケーションライフサイクル管理(ALM)製品や、オープンソースプロジェクトであるCline(英語)のエージェント型チャット機能とシームレスに連携します。Anypoint Code Builder(MuleSoft)、CursorWindsurf(英語)などのVisual Studio Codeと互換性のあるIDEで利用できます。

Vibe Codeyとペアでプログラミング

Agentforce Vibesでは、新しい自律型AIエージェントのVibe Codeyがペアプログラミングのパートナーになります。チャットしながらコードの提案を受けられるほか、Vibe Codeyがプロジェクトの状況を理解したうえでコーディングを担い、開発ライフサイクルをスピードアップするパートナーとして機能します。

Vibe Codeyの機能をご紹介しましょう。

  • コンテキストを認識したプランモード(Salesforceスキーマを理解)
  • AIエージェントによるコード生成(Apex、HTML、CSS、JavaScriptなど)
  • Model Context Protocol(MCP)のサポート(20以上のMCPツールを搭載)
  • 変更をロールバックするチェックポイント
  • AIエージェントによる開発をカスタマイズできるAIエージェントルール
  • テストケースの生成
  • コード分析(セキュリティ、パフォーマンス、ベストプラクティス)
  • AIエージェントによるバグの解消
  • 自然言語によるDevOpsとアプリのデプロイメント

Vibe Codeyは、xGen、GPT-5、内部ホスト型モデルなど複数のモデルをサポートしており、Model Context Protocol(MCP)を使った拡張も可能です。コンテキスト認識機能により、Salesforceのプロジェクトの構造と‌組織のメタデータを深く理解するため、既存コードの発見・分析・再利用を行えるほか、コーディング標準に準拠して一貫性を高め、コラボレーションを促進します。

Vibe Codeyは、さまざまなユーザー体験にわたって、ローコードとプロコードによるアプリケーション作成を効率化します。現在はWebとモバイルに対応しており、まもなくSlackでも使えるようになります。また、Vibe Codeyを活用した開発は、次のようなSalesforce Platform固有のプライバシー機能やセキュリティ機能、制御の管理下に置かれます。

  • 組み込みのガードレール(高水準のレジリエンス、セキュリティ、コンプライアンスを確保)
  • Trust Layer(出力のセキュリティ、プライバシー、正確性を確保)
  • Salesforce Sandbox(本番環境へのデプロイ前に、Vibe Codeyが隔離された開発環境で開発とテストを実施)

簡単なユースケースをいくつかご紹介します。

  • 短期間でのプロトタイプ作成 – アイデアをすばやく開発してテスト。実用最小限の製品(MVP)、社内デモ、機能の概念実証に最適。
  • 新規の開発プロジェクト – 制約の少ない新規アプリを作成。新しいカスタムオブジェクト、リレーションシップ、ページレイアウト、Apexロジックの骨組みをすばやく作成。
  • 会話によるリファクタリング – 会話でコードをリファクタリング。例えば、Vibe Codeyに「このメソッドを簡素化して」、「これをサービスクラスに抽出して」などと依頼する。
  • Lightning Webコンポーネント(LWC)の生成 – 動的なUIやフォーム、コントローラー、Apexクラスを作成。

Agentforce Vibesの機能は、Vibe Codeyとのコラボレーションだけではありません。2025年5月にリリースされたSalesforce DX MCP Server(英語)(開発者向けプレビュー版を提供中)を活用すれば、Claude Code、Cursor、WindsurfなどのAIエージェントツールにも拡張できます。Salesforce DX MCP Serverは、Salesforce DXプロジェクトのコンテンツと構成を理解し、DX Foundationライブラリと直接連携する、ローカルのMCPサーバーを実行できる機能を提供します。

リリース以来、Salesforce DX MCP Serverにはモバイル開発、AuraとLightning Webコンポーネント、コードアナライザーなど、さまざまな新しいツールセットが追加されてきました。詳しくは、利用可能な機能の一覧(英語)をご参照ください。

Agentforce Vibesの仕組みに関心がある方は、IDE内で直接Vibe Codeyとやり取りする方法を紹介した動画(英語)をご覧ください。

Agentforce Vibesは正式リリース済みですが、現時点ではリクエスト数に制限があります。今後のリリースで、リクエスト数を追加購入できるようにするほか、プレミアムコーディングモデルの利用も可能にしたいと考えています。また、今年のDreamforceでは、ハンズオンのバイブコーディングラボを実施するなど、さらに詳しい情報をご提供する予定です。

Dreamforce 2025でもっと詳しく知る 

10月14日~16日に開催されるDreamforceに参加登録済みの方は、ぜひ以下の情報をチェックしてください。

リソース

注意 – 本記事には、開発中またはリリース前のサービスや機能への言及が含まれている可能性があります。製品の購入を検討される際は、リリース済みで現在利用可能な機能にもとづいてご判断ください。

執筆者(オリジナル)について

Dan Fernandezは、Salesforce開発者サービス部門のプロダクトマネジメント担当VPです。Agentforce Vibes、Salesforce CLI、Salesforce Extensions for Visual Studio Code、Sandbox、Packaging、DevOps CenterなどのSalesforce製品を使う開発者に優れた体験を提供するために、チーム一丸となって取り組んでいます。