ついに myTrailhead が全世界的に利用可能になりました。Trailhead の利用者は全世界で 100万人をこえ、これからの企業の学習文化をカタチづくる一つの役割を担うのかなと感じています。今回のブログポストでは、myTrailhead がどのようなポジショニングで、何ができるのかについて簡単にご紹介していきます。
そもそも Trailhead の使い方について知りたい方は こちらのガイド をご覧ください。Trailhead のサインアップ方法や簡単な利活用方法が記載されています。
Learning Experience Platform – 体験学習プラットフォーム?
myTrailhead は体験学習プラットフォーム (LXP:Learning Experience Platform) という新しい市場ポジショニングで説明されます。従来企業には”学習したかどうか”を管理している学習管理システム (LMS : Learning Management System) や、”リリースしたシステムなどをユーザーが利用可能になる”ことを目的としたデジタルアダプションプラットフォーム (DAP : Digital Adoption Platform) が存在していました。では myTrailhead はこの二つの種類のプラットフォームと何が違うのでしょうか?
myTrailhead は”学習者が自発的に学びを継続すること”を目的として、体験学習を深めることを目的としています。Trailhead は一口サイズの学習単元 (マイクロラーニング)、モバイル対応、ゲーミフィケーションや学習パスのパーソナライズが可能です。Trailblazer の方々や、過去 Trailhead Contest にご参加いただいた皆様にはいわずもがなですが、これら機能はすべて「いかに楽しく学ぶのか」を考えて実装された特徴です。もともとは現場の開発者や管理者が楽しく学びながら成長していくことだけを考えて生まれたプラットフォームです。そのため myTrailhead は機能としての優劣ではなく、企業組織に、学習者にとって”楽しく学ぶ文化”を育むことを第一位優先に考えています。
項目 | LMS | DAP | LXP |
セグメント | Learning Management System | Digital Adoption Platform | Learning Experience Platform |
概要 | eラーニングの運用に必要な機能を備えた学習管理システム。教材の登録や学習者への割り当て、学習履歴、進捗状況、管理分析を行う。 | ITシステムの定着化に特化したプラットフォーム。実際の操作画面などを指示で表示したり、その利用定着を促すための仕組み。 | 学習者が自発的に学びを継続するために必要な特徴を備えた、体験学習プラットフォーム。ハンズオン、上級者向け、資格試験更新なども行える。 |
myTrailhead でできること
それでは myTrailhead が機能的にどのようなことができるのか、Trailhead との比較で以下にまとめてみました。現在 Trailhead でできることに加えて、最後の4行が新たに使える機能です。
特徴 | 説明 | Trailhead | myTrailhead |
Contents library | 500種類を超える Trailhead の無料学習コンテンツです。ハンズオン、選択式問題、上級者ハンズオン、資格更新まで様々なコンテンツが公開されています。 | ✔︎ | ✔︎ |
Mobile | あらゆるデバイスで利用可能です。オフィスでも電車の中でも。 | ✔︎ | ✔︎ |
Gemified | ポイントやバッジ獲得、ランキングシステムにたまに開催されるコンテストなどゲーム機能を搭載しています。 | ✔︎ | ✔︎ |
Trail Guide | 学習を進めると、自身のロールや学習傾向に応じたオススメ学習モジュールがガイドされます。 | ✔︎ | ✔︎ |
Trail Mixer | 自分だけの学習順序を作成して共有することができます。 | ✔︎ | ✔︎ |
Trail Tracker | Trailhead の学習データを皆さまの Salesforce 組織に統合することができます。また、バッジの割り当てや学習進捗状況を追跡してレポート&ダッシュボードで確認できます。 | ✔︎ | ✔︎ |
Profile | 獲得したバッジやスキル、到達しているランクが表示されます。 | ✔︎ | ✔︎ |
Branding | 自社の企業ブランド、ロゴ、イメージ、カラーなどを皆さま自身の Trailhead インスタンス/サブドメインで利用することができます。 | ✔︎ | |
Trail Maker | 自社独自で学習モジュールを作成することができます。 | ✔︎ | |
Trail Checker | 学習モジュールの回答方式には複数ありますが、現時点では Trail Maker で作成したモジュールの学習方法は選択方式です。 | ✔︎ | |
Customer Steps | Trailmix の中に、外部学習コンテンツを組み込んだり、外部リンクを埋め込んだりする機能です。 | ✔︎ |
新規の機能部分を少し紹介してみますね。まず Branding は想像しやすいですね、単純に皆さまがある程度自由に Trailhead のブランドパーツを変更できるというものです。
Trail Maker はいままで Trailhead Writers (コンテンツを作成しているチーム) が利用していた機能です。Trail Maker Contents というモジュール作成機能と、Trail Maker Release というパブリッシング機能で構成されます。ブログを書いて公開する感覚に近いですね。バッジデザイン、原稿、ポイント設定、問題文作成などを行い、完了予測時間、学習対象者や難易度を設定します。
Custom Step は今まで Salesforce 社員だけが利用していた機能です。Trailmix で公開モジュールを並べるだけではコンテクストを補完しきれない場合には、外部コンテンツを学習パスに組み込んで利用することができます。
Trail Tracker は従来 AppExchange で無償提供されていた Trailhead データを自社の Salesforce 組織に統合するアプリです。社内の学習状況やランクなどをレポート&ダッシュボードで管理できます。インストールについては Trail Tracker インストールガイド をご確認ください。
誰向けに使うものでしょうか?
myTrailhead は基本的に Sales Cloud, Service Cloud, Platform ライセンスへのアドオンライセンスです。そのためmyTrailheadは、まず3つのユースケースに重点を置いています。
- 新入社員の研修 (新卒・中途)
- 営業担当者のスキル開発とトレーニング(Sales Cloudのお客様向け)
- サービスエージェントのスキル開発とトレーニング(Service Cloudのお客様向け)
Trailhead をかなり使いこなしているお客様では、社員そのもののデジタルトランスフォーメーションや、ITトレーニングコストの削減などにもご利用いただいています。もちろん Trailhead の公開モジュールを使えることができるので、従来通り Salesforce の定着化をさらに進めることもできます。ですがまず着目するべきテーマは、On-Boarding のシーンでしょう。特に新卒・中途問わず、その人物が入社から一定期間で定められたパフォーマンスを発揮するまでのラーニングジャーニーを実装することが最初に取り組むプロジェクトとしては適切です。求める人物像の姿を描く、その人物が持つべきスキルを開発する、そのジャーニー設計をする支援も今後検討しています。
Salesforceと連携しますか?セキュリティは?他にもいろいろ聞きたいことがあります。
わかります、そうしたご質問はこちらの myTrailhead の FAQ にできる限りまとめてみました。すべてのご質問に回答できているわけではありませんが、myTrailhead の認識を助ける一助となれば幸いです。
Shun Shichinohe
Product Marketing Manager, Trailhead