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【Service Cloud OOTB】#1 Visual Remote Assistant 概要

OOTB (Out of the Box)は「箱から出て」という意味の英語表現です。IT業界においては「すぐに利用ができる」と言う意味で用いられます。Service Cloud OOTBはService Cloudと関連製品をご購入後に「すぐに利用ができる」内容を中心に発信します。開発者やシステム管理者といったService Cloudユーザに加えて、これからService Cloudのご購入を検討されるユーザへ、その価値、特徴、魅力、機能をお伝えします。

 

本記事はシリーズ構成です

本記事のテーマは Visual Remote Assistant (以下、VRAと記述) です。予定をしている複数記事によるシリーズで構成されています。

  1. Visual Remote Assistant 概要 (本記事です)
  2. インストールと初期設定(仮)
  3. 運用のための設定と追加設定(仮)

これらをご覧いただけますと「すぐに利用ができる」内容としてVRAを理解いただくことができます。

 

VRAが求められる背景

昨今の顧客サービスは正確性、迅速さが重要です。顧客が期待をするサービスレベルは高まる一方と言えるでしょう。特に担当者、フィールドエンジニアなど人が顧客へ訪問をするビジネスでは現場での応対が大変重要です。その場での良い体験、悪い体験がそのままSNSで発信され企業の評価に繋がることも多いのです。企業は顧客の現場で起こる内容を素早くかつ正確に把握し、適切に対応する事が重要となります。

 

 

VRAでは映像を共有することで現場や顧客の目の前で起きている事象を社内にいながら正確に把握が可能です。これにより訪問担当者、フィールドサービス要員は自身のみならず社内の有識者の知見も活用してサービスを提供することができます。

作業の正確性、効率化に大きく寄与するこの仕組みは訪問回数の削減や滞在時間の短縮を見込めるでしょう。更に訪問担当者のスキルに依存しない高いパフォーマンスを一貫して提供することも実現します。習熟度の低い担当者も映像でのサポートを受けられることで安心して作業に臨めるます。その活用方法は多岐にわたるのです。

 

Visual Remote Assistant

VRAはリアルタイムで映像を共有し、顧客そして訪問担当者を強力に支援します。VRAは単なる映像共有に留まりません。画面を指示、ポイントすることでリアルタイムで視覚的な意向を伝えることができます。更には文字認識を搭載。日本語の印字を一度にデータ化することが可能です。顧客のID、番号など冗長な文字列は映像からデータ化すればミスを低減できます。VRAではこれらの全てが「すぐに利用ができる」標準機能なのです。

 

 

例えばこのような使い方ができます。顧客と電話をしているその瞬間にVRAから映像を共有し問題の解決が可能です。映像を用いれば解決時間の短縮のみならず現地訪問までも回避することが出来るのです。1回の問い合わせで迅速に問題解決ができれば顧客の満足度は高まることでしょう。

 

 

また、この利用方法では文字認識(OCR: Optical Character Recognition/Reader)で顧客がお持ちの紙に記載された情報をデータ化しています。電話音声だけでは聞き直し、入力ミスなど発生してしまいますが文字認識であれば正確にデータとすることが可能なのです。通話中の顧客に“契約書に記載されている細かい情報を読み上げさせる”のは大変苦労をするのではないでしょうか?VRAであれば契約書自体を文字認識し自動でデータ化することで確実かつ迅速に手間を煩わせずやりとりが出来るのです。

 

検討すべきこと

ここまでの説明でVRAに大変興味を頂けたかと思います。ご利用に際し以下を確認ください。
以下、本記事執筆時の情報となります。実際にご利用の際は最新情報を確認ください。

 

サポートについて

VRAはSalesforceサポートチームが日本語によるサポートを提供しています。サポートチームで問題の切り分けを実施しSalesforceに要因がある場合は適宜対応がなされます。この対応は弊社の他製品と同一の流れです。しかしVRAの提供元であるTechSee社(https://techsee.me)側に要因がある場合、お客様からTechSee社へ英語でサポートを依頼いただきます。何卒ご了承ください。

 

個別用件

VRA導入にあたってインストール、設定手順に記載されない要件があります。以下ご確認ください。

  • インストールをするSalesforce環境に対して私のドメインから個別のドメインを設定ください。VRAを利用する環境は私のドメインが設定されている必要があります。
  • インストールをするSalesforceユーザはシステム管理者権限を有する、かつService Cloudユーザであるようしてください。
  • VRAで利用をするドメイン名を検討ください。
    利用時のメールに含まれるURLに反映がされます。完全にユニークとなる名称を検討ください。設定時に指定をする必要があります。
  • AWS リージョンはその時点で利用可能なリージョンを選択ください。
    VRAはAWSを利用する製品です。そのため製品が提供しているAWSの地域を選択する必要があります。映像品質向上のため接続速度が担保可能なリージョンを設定時に選択ください。
  • IPアドレス制限はホワイトリストとして制限を解除してください。
    方法についてはインストール時点で弊社から提供される最新の情報に準拠してください。
  • インストールするユーザに対してはMFAを無効化してください。
    方法についてはインストール時点で弊社から提供される最新の情報に準拠してください。

 

次回予告

次回はいよいよ実際にVRAのインストール、設定をご紹介します。コーディング、開発は全くありません。ご購入後に設定で「すぐに利用ができる」ものとなります。先進的な映像顧客サポートが素早く提供できる様をご覧いただく内容を予定しています。どうぞご期待ください。
Service Cloud、Salesforceにご興味がありましたら弊社担当営業までお気軽にご連絡ください。

 

著者紹介

 

渡辺 敏和
株式会社セールスフォース・ドットコム ソリューション・エンジニアリング統括本部
Cloud Specialist & Architect本部 Service Cloud Senior Manager

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