みなさん、こんにちは!Agentforce、Salesforce の様々な生成 AI 機能を導入する際、開発者や管理者の方は「それぞれの機能は実際にはどのようなプロンプトを LLM に投げているのか」を見てみたいと思ったことはありませんか?

デバッグの効率化、プロンプトの最適化、そして企業のガバナンス遵守という観点から、AI の入出力を可視化することは不可欠です。この記事では、Data 360(Data Cloud)とレポートを活用して、Agentforce ログ(プロンプトを含む LLM とのやりとりのデータ)を可視化する方法を解説します。

この記事の内容を解説した動画はこちら。

※この記事の内容を実行すると、生成 AI 機能の利用とData 360 の利用に伴うクレジットの消費が行われます。あらかじめご了承ください。まず動きを見てみたいということであれば、無料で取得可能で、生成 AI 機能や Data 360 利用にも追加費用がかからない Developer Edition をご利用ください。

この記事のポイント

  • Agentforce のログデータは Data 360 に自動的に収集・蓄積される
  • 標準のレポート機能を使用して、ログを見ることができる

1. 事前準備:ログ収集の有効化

前提として、Data 360 の準備が完了し、生成 AI 機能(Einstein を有効化)もオンになっている必要があります。その後、組織の設定で「監査およびフィードバック」の機能を有効化します。

この設定を有効にすることで、Agentforce、生成 AI 機能からのほぼすべての LLM に対するリクエストとレスポンスが、Data 360 上のデータモデルオブジェクト(DMO)に格納されるようになります。

2. ログデータの構造を知る

収集されたログは、Data 360 上で主に以下の3つのオブジェクト(DMO)に分かれて保存されます。これらは自動的にマッピングされるため、手動でのデータ取り込み設定は不要です。

  • GenAIGatewayRequest: LLM へのリクエスト情報(送信日時、利用モデル、Appタイプなど)を保持します。
  • GenAIGatewayResponse: LLM からのレスポンスのメタ情報(パラメーターなど)を保持します。
  • GenAIGeneration: 実際に生成されたテキストコンテンツを保持します。

これらを組み合わせることで、「いつ・どの機能が・どのモデルに対して・どんなプロンプトを送り・どんな生成結果を得たか」というストーリーを再現できます。

※2026年1月時点: ログデータはおよそ1時間ごとに同期(取り込み)されます。このため、機能を利用した後にログが確認できるようになるまで、最大1時間の遅延があります。

3. レポートの作成手順

Data 360 に格納されたデータは、Salesforce の標準レポート機能を使って簡単に可視化できます。

ステップ 1:カスタムレポートタイプの選択

「GenAIGatewayRequest with GenAIGeneration」を選択しレポートを作成します。もしこのレポートタイプが組織で見当たらない場合は、この3つのオブジェクトを組み合わせるカスタムレポートタイプを作成することで同じレポートを作成することができます。

ステップ 2:レポートの作成と項目設定

作成したレポートタイプを使用して新しいレポートを作成します。例えば次の項目を列に追加してみます。

  • GenAIGatewayRequest
    • App Type, Cloud, Feature: 使用された機能・区分
    • Model: 使用された LLM
    • Provider: LLM の提供元
    • Prompt: LLM に送られたプロンプトの全文
    • Parameters: リクエストのパラメーター値
    • Timestamp: 実行された日時
    • Total Tokens: 合計消費トークン数
  • GenAIResponse
    • Parameters: レスポンスのパラメーター値
  • GenAIGeneration
    • Response Text: LLM からの回答

4. 活用法

レポートが完成すると、以下のような分析やデバッグが可能になります。

  • システムプロンプトの全貌を確認
  • トラストレイヤーのマスク効果を確認(Masked Prompt 項目)
  • エージェントの思考プロセスを追う

プロンプトは長文になることがあり、レポートの画面から全文を確認できないことも多いです。その場合は、レポートをダウンロードして何か別のツールで見てみることをお試しください。

まとめ

「ブラックボックス」と思われがちだった生成AIの挙動も、Data 360 とレポート機能を組み合わせることで、透明性の高いシステムへと進化させることができます。まずは無料で取得できる Developer Edition で動きを見るところから始めてみてください。

参考リソース