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Salesforce Code Builder を発表

(この投稿は Nathan Totten (Salesforce.com) による『Introducing Salesforce Code Builder』の翻訳です)

ここ 3 年の間に、 Salesoforce プラットフォームでの開発者の生産性は大きく向上しました。スクラッチ組織、Salesforce CLI、 Visual Studio Code の拡張機能に始まり、ソース追跡、ソースコントロール、Lightning Web コンポーネントまで、多くのツールが Salesforce 開発者達の開発を支え、Salesforce での開発をより親しみやすい体験にしてきました。しかし、それでも埋まらない理想と現実のギャップがありました。これらはデスクトップ環境での利用を想定しているため、ブラウザ上で開発したい開発者の多くがこれらの素晴らしいツールから得られる恩恵を受けられなかったのです。

そしてこの度、Microsoft の Visual Studio Codespaces 上で動作する、Salesforce 開発に最適化されたウェブベース開発環境として Code Builder を発表します。Code Builder はデスクトップアプリケーションである Visual Studio Code の全ての機能をブラウザ上で利用できるクラウド上にホストされた開発環境です。開発に必要な環境の構築と設定はクリック操作のみで完了します。Code Builder では、Salesforce Extensions、Salesforce CLI、Git 連携、Salesforce 組織との接続など、Salesforce アプリを構築するために必要な全てを提供します。Code Builder は単なるブラウザ上で動作する軽量型のエディタではありません。すべての Code Builder のインスタンスはそれぞれ強力な Virtual Machine 上で動作しています。つまり、Code Builder では簡単なコード修正から、Lightning Web コンポーネントの開発、高度な Apex のデバッグも可能となります。さらに、Node.js や Java もサポートしており、それらの開発のためにブラウザから離れる必要はありません。

直感的でモダンな体験

Code Builder はデスクトップ上の VS Code のインターフェース、性能、機能をそのままブラウザに引き継いだだけでなく、Salesforce 開発に最適化されています。すでに VS Code を利用中の方は、難なく切り替えられるでしょう。Code Builder では Salesforce 開発に必要な設定を自身で行う必要がありません。また、全ての Salesforce 言語とプログラミングモデルに対し、ESLint や Prettier などの生産性ツール、豊富なコーディング補助機能など利用できます。VS Code は未経験でも開発者コンソールやワークベンチの利用経験があるのであれば、この新しいウェブベースのツールの習得は難しくありません。これからの Salesforce 開発とツールの学習は、それらを利用する環境によって内容が左右されることはありません。。一度ツールの使い方を習得すれば、デスクトップ上でもブラウザ上でも環境を選ばず開発を進める事が出来るようになります。

Lightning Web コンポーネント

ついに Lightning Web コンポーネントの開発、デバッグ、デプロイがブラウザ上から可能になります。Code Builder は、LWC 開発者にコード補完、インライン・ドキュメント、リファクタリング、リンティングなどの最新の開発機能を提供します。

Apex

これまでの Apex 開発では、多機能な VS Code か軽量な開発者コンソールから選択することができましたが、どちらを選ぶかによって利用できる機能に差がありました。例えば、開発者コンソールではコード補完やレファクタリング、デバッグなどを補助する機能が不足していました。Code Builder は、作業する環境がブラウザ上だからといって便利な開発ツールの利用を諦める必要がなくなります。VS Code で全ての機能は Code Builder でも利用出来るからです。

組織のメタデータ

開発者コンソールでは、いくつかの限られたメタデータにしかアクセスできませんでしたが、Code Builder では組織の全てのメタデータにアクセスできます。Org Browser をつかって特定のメタデータを取得し検証や変更が可能です。変更したメタデータを即座に組織に反映させることもできます。

アプリケーション・ライフサイクル・マネージメント

Code Builder は複数の組織に接続する事もできます。また、組織に接続するだけでなく、スクラッチ組織やサンドボックスなどの組織を作成することもできます。これらは全て一つの Code Builder のインスタンスから実行できます。このように Code Builder の利用シーンは単純なコードやメタデータの修正に限りません。スクリプトによる複数の組織へのデプロイ作業やスクラッチ組織を使ったテストまでもが可能になります。また、ソースコントロール連携も可能でありソース駆動型開発への移行も支援します。

SOQL クエリビルダー

Code Builder には、ウェブ上に散財する Salesofrce の開発や構築で利用されるツールを、モダンで一貫性のある一つのツールに統合するという目的があります。その第一歩として最初に取り込んだツールがワークベンチで提供されていた SOQL クエリビルダーです。このツールでは、視覚的な UI を通して誰でも簡単に SOQL クエリを記述して実行できる他、直接 SOQL を編集するための高度な機能も備えています。

多機能な開発環境

Code Builder は単なるブラウザ上で動作するエディタではありません。クラウド上にホストされた開発環境です。これは、コマンドラインで Salesforce CLI のようなツールを実行したり、保存したファイルを次回以降に呼び出す事もできるということです。VS Code の拡張をインストールできたり、カラーテーマの変更も可能です。Code Builder は、あなたが望むままに利用可能なあなただけの環境なのです。

好みの場所から好みの方法で

Code Builder の登場により、デスクトップ上の Visual Studio Code が使えなくなるわけではありません。開発者はこれまで通り、 VS Code を使い続けるか、 Code Builder を使い始めるか選択できるようになりました。Code Builder の素晴らしい点は、これまで使っていた VS Code の拡張をそのまま利用できる点です。つまり、これまで Salesforce が開発し提供してきた VS Code 用の拡張を全て Code Builder でも利用することができます。一方で、開発者にとっては、これまで利用してきたツールや機能を諦めたり新たに学習することもなく、開発の場所を選ぶことが出来るようになったのです。開発者の中には、VS Code をメインに利用しながらも、たまに Code Builder を利用してみようという方もいるでしょう。また、プレビュー機能などを試してみたいときだけ Code Builder のインスタンスを起動すれば、メインの環境を保ったまま機能の確認を行えます。

Code Builder は単に コードを書くためのものではありません。プラットフォームで構築作業を行う全ての人が利用できます。もしあなたが、1 行のコードも書かずに視覚的な UI で SOQL クエリを実行したいのであれば、これはあなたのためのツールです!そして、それはデスクトップ上の VS Code でも実行する事ができます。Code Builder にプリインストールされる SOQL ビルダーやその他の機能は全て、VS Code 拡張としても提供されます。したがって、デスクトップ上の VS Code でも利用できるのです。構築するものに関わらず、開発者はデスクトップ上の VS Code を利用するかブラウザ上で Code Builder を利用するかを常に選択できるのです。そして、その選択が開発ツールや機能に左右されることはありません。これが、 Salesforce の全ての開発者ツールが進むべき統一された道であると考えています。

Salesforce ウェブツールのこれから

この発表によって、開発者コンソールがどうなるのか気になっている方もいるかもしれません。開発者コンソールの手軽さと速度は魅力的ですが、コード補完、リファクタリング、強力なデバッグによる生産性の高い開発手法も必要です。Code Builder を使うことによって、すべての開発者は最新の IDE と革新的なツールを最大限活用でき、快適な開発を楽しめるようになるはずです。そのための複雑な設定も必要ないのです。

これからの数年で、構築者(Builder)と開発者(Developer)に統一された開発体験を提供していきます。そのために、開発者コンソールやワークベンチで愛される機能を Code Builder とデスクトップの VS Code で提供していきます。今後は、Salesforce のデスクトップツールとウェブツールでは、同じ機能が提供されます。SOQL ビルダーを使いたいからと言って Code Builder を起動する必要はありません。Code Builder で提供される機能は全てデスクトップの VS Code でも提供され、その逆も同じです。

Code Builder は 6 月 25 日よりパイロットとして特定のお客様限定での提供が開始されます。詳しい情報は Salesforce の営業担当者にお問い合わせ下さい。一方で Salesforce は直接開発者の皆様からの声を受け取りたいと思っています。開発者ツールのロードマップの作成のためにアンケートにご協力をお願いします。私達は、VS Code 拡張、Salesfoce CLI、Local Development などの新しいリリースを毎週提供しています。またそれらは GitHub 上で公開されていますので、お気づきの点があれば Issue の登録をお願いします。

最後に、6 月 25 日に開催される TrailheaDX への登録はお済みですか?「Unlock Developer Productivity with Modern, Open Tooling」セッションで Code Builder についての詳細をご確認頂けます。

著者について

Nathan Totten は Salesforce Developer Tools & Experiences の product manager です。
Claire Bianchi は Salesforce Code Builder and the Salesforce CLI の product manager です。

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