OOTB (Out of the Box)は「箱から出て」という意味の英語表現です。IT業界においては「すぐに利用ができる」と言う意味で用いられます。Service Cloud OOTBはService Cloudと関連製品をご購入後に「すぐに利用ができる」内容を中心に発信します。開発者やシステム管理者といったService Cloudユーザに加えて、これからService Cloudのご購入を検討されるユーザへ、その価値、特徴、魅力、機能をお伝えします。
前回まで
本記事のテーマは Visual Remote Assistant (以下、VRAと記述) です。下記の通り複数のシリーズ記事として構成がされています。
- 【Service Cloud OOTB】#1 Visual Remote Assistant 概要
- VRAが求められる背景、VRAの機能概要、利用シーン、サポートについて等々をお伝えしました。
- 【Service Cloud OOTB】#2 インストールと初期設定
- VRAのインストール、動作をさせるまでを紹介しました。
- 運用のための追加設定 (本記事です)
これらをご覧いただけますと「すぐに利用ができる」内容としてVRAを理解いただくことができます。
おことわり
本記事ではVRAの追加設定方法を抜粋しご紹介しています。非常に簡単な設定でどなたでもすぐに利用できることを確認いただく内容です。ですがヘルプやマニュアルとしての位置付けではありませんのでご注意ください。本記事で扱うSalesforce環境はDeveloper Edition環境にVRAのライセンスを追加した環境です。また本記事執筆時の最新バージョンを利用しているためお使いのSalesforce画面と異なる場合があります。ご了承ください。
設定、導入でお困りの場合は担当されているパートナー企業様、ならびに弊社サポートまでお問い合わせください。
Salesforce Object Support
VRAがインストールされると使うことができます「Visual Remote Assistant – Admin」アプリケーションで設定をします。ここでは各種オブジェクトとVRAセッションオブジェクトのリレーションを設定します。
Salesforce Object Support
各オブジェクトでどの項目を、電話番号・メールアドレス・個別の識別ID・名前と対応付けするのかを定義するものです。VRAの招待コンポーネントにより指定された項目がSMS、メールの送り先として初期設定がされます。標準では主に利用される以下のオブジェクトに対して既にリレーションが設定されています。
- ケース(Case)
- 取引先責任者(Contact)
- 作業指示(WorkOrder)
上記のオブジェクト設定に沿うように独自のカスタムオブジェクトでも電話番号項目、メールアドレス項目があれば利用が可能です。
Features Configuration / Visual Assistance Configuration / Visual History Configuration
機能設定 / 映像共有の設定 / 映像履歴データの設定です。ここはVRAの様々な機能設定が可能です。1つの設定で制御がされるもの、複数箇所の組み合わせで設定される機能があります。よく使われる設定を以下に紹介します。
Features Configuration画面
Visual Assistance Configuration画面
Visual History Configuration画面
SMSでVRA招待を送る
【Service Cloud OOTB】#2 インストールと初期設定ではEメール経由でVRAを開始しました。今回は電話番号のみで送信が可能なSMS(ショートメッセージサービス)を用いる設定を紹介します。
Visual Assistance Configuration画面で以下を設定します。
デフォルトのVRA招待送信方法を定義します。この設定は任意です。VRA送信時にSMS、メールのどちらで送信するかを選択が可能です。
国番号(Country Code)を日本の「81」を選択し有効(右のSelectedに移動)します。不要な番号はこちらで削除します。この設定のみで日本国内向け宛先に送信可能となります。
音声を利用する
VRAで映像共有のみでなく音声も利用する。いわばテレビ会議のような状態を作る設定が可能です。
映像のみでなく音声も利用する際はFeatures Configuration画面でEnable Audio(音声有効化)をONにします。
フィールドサービスでの利用を設定する
フィールドサービス用途での利用の際はFeatures Configuration画面で下記を有効とします。
加えて各種フィールドサービス機能の設定が必要となります。詳細については別途ヘルプ、Trailhead、弊社から提供される最新情報を確認ください。
住所を表示させない
VRAで接続した際にIPアドレスより顧客の大凡の住所情報が表示されます。個人情報の保護等で表示しないよう設定ができます。
Visual Assistance Configuration画面でEnable Geolocation(位置情報有効化)をOFFにします。
OCR(Optical Character Recognition/Reader)をする
映像からテキスト情報をデータ化することができます。
Visual Assistance Configuration画面で Enable OCR(OCR有効化)をONにします。
セッションタイプをリネームする
利用者にわかりやすい名称としてセッションタイプをリネームすることができます。
Features Configuration画面でラベルを変更してください。
最後に
いかがでしたでしょうか?3回に渡りシリーズでVRAの概要と設定をご紹介して参りました。Service Cloudをご購入いただき適切に設定をするだけで即座に次世代の顧客サービス、映像サポートの利用ができると理解できたかと思います。「すぐに利用ができるソリューション」をぜひご検討くださいませ。
Service Cloudでは本記事で紹介しきれないほど多くの先進機能を有しています。その全てはお客様のビジネス成功を強力に支援するものです。今後こちらの記事として紹介する機会を設けていきたく思います。
Service Cloudについてご興味がありましたら弊社担当営業までお気軽にご連絡ください。
参考情報
著者紹介
渡辺 敏和 (Toshikazu Watanabe)
株式会社セールスフォース・ドットコム ソリューション・エンジニアリング統括本部
Cloud Specialist & Architect本部 Service Cloud Senior Manager