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Salesforce Customer 360 発表

2018年9月25日から28日にかけて、米国サンフランシスコで「Dreamforce 2018」が開催されています。
非常に数多くの製品や事業提携などが発表されていますが、その中でも注目すべきサービスの一つ、Salesforce Customer 360をご紹介します。


Salesforce Customer 360とは?

ある顧客のデータが4個のシステムに登録されていたとしても、それは4人の顧客ではありません。Salesforce Customer 360は複数システムの顧客情報を一意に統合し、単一の顧客ビューを提供します。

Salesforceのプロダクトには近年、SalesCloud や Service Cloud などの Salesforce Core サービスに加えて、Marketing Cloud や Commerce Cloud など、データストアの異なるサービスが増えてきました。例えば B2C における顧客情報では、 Service Cloud であれば Person Accounts オブジェクトに格納され、 Commerce Cloud の顧客情報は Customerと呼ばれるテーブル、 Marketing Cloud でのテーブルは Data Extension と呼ばれており、それぞれ独立したデータモデルを独立したデータベースで保持しています。

今まででも異なる Salesforce プロダクト同士を Point-To-Point インテグレーションで繋ぐことは可能でしたが、複雑な双方向のデータインテグレーションを行うとする際には注意深い設計と高度な実装が必要となるなど、データインテグレーションには課題がありました。

今回発表された新しい Salesforce Customer 360 は、MuleSoft の AnypointPlatform テクノロジをベースに Salesforce 製品群の顧客データをシームレスに統合します。

例えば Service Cloud と Commerce Cloud を Customer360 を通して連携を行えば、ServiceCloud 上の Person Account と同一視される Commerce Cloud 上の Customer Record をすぐに識別できるので、サービスエージェントは顧客が Commerce Cloud で構築されたECサイトで購入した商品の履歴を確認しながらサポートする、といった用途の SingleView を構築することが簡単になります。

Salesforce Customer 360のデータ連携方法

データの連携はその名の通りCustomer 360という統合(Canonical) DBを中央に配置し、Hub-and-Spoke型のアーキテクチャによって実現しています。
各プロダクトにある 顧客に関連するデータ(例えばParson Accountに関連するCaseなど)までを全て中央のHub DBにコピーするのではなく、コアとなるCustomer情報のみをCustomer 360は保持し、Customer 360 IDを各Spoke側のシステムが保持することによって、お互いのデータを一意に認識します。

顧客データの同期機能はCustomer Resolution Engineと呼ばれ、異なるシステム・異なるデータモデル間のマッピング定義を保持し、データ投入の際のマッチングルールの設定や電話番号や名前などの表記揺れの統一を行ってくれます。


Salesforce Customer 360は現在はプライベートパイロットの状況で、来年のリリースで公開される予定です。
少し前に「Integration Cloud」として発表されたものがブランディングが代わり、より具体的になって再登場したものとなります。

今後Salesforceプロダクト間のインテグレーション及びMDM(Master Data Management)製品をCustomer 360と呼び、Salesforceのインテグレーション機能は「MuleSoft Anypoint Platform」として呼称するようになりました。Herokuのケースと同様に、すでに業界で知名度のあるMuleSoftとAnypoint Platformブランドをそのまま継続する方向になったみたいです。

まだ現段階では他のシステムにある関連データを透過的にクエリする方法や、商品マスタなど顧客情報以外のマスタデータや独自定義のマスタデータの対応などに関しては発表されていませんが、今後さらに機能追加が図られると予想されますので、ぜひSalesforce Customer 360の進化にご期待ください。

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